骨髄移植と臓器移植

骨髄バンク・つなぐ
名誉顧問 吉永 馨

 血液や臓器を人から人に移植するのが移植医療です。白血病などの血液疾患は薬では治らないケースが多く、移植によってのみ健康を取り戻せます。心臓、肝臓、腎臓なども、病気が重くなると生きられませんが、移植を受ければ生きられます。

 そのように移植医療は極めてれ必要な治療ですが、血液(厳密には骨髄液)を提供する人(ドナー)がいなければ成立しません。ドナーと患者は白血球の型(HLAという)が会わないと成功しません。白血球の型は数百にもおよび、他人同士で合致する率は少ないので、多数のドナーがなければ会う人が見つかりません。

 私達は一般市民の善意に頼って、ドナーになって頂くよう努力しています。現在日本には52万人ほどのドナー登録者がいますが、新しい追加がなければ、高齢化や病気などでドナー資格を失うものも少なくありませんので、自然に減っていきます。その減少を補い、総数を一層増やすため、登録推進は続けなければなりません。これが私達の使命です。血液難病の人を救いたい思いからこの運動に努めています。

 心臓、肝臓、腎臓などの移植はどうでしょうか。肝臓の一部や腎臓の片方を採って移植することもあるのですが、できれば急死者の臓器を用いたいのです。交通事故、脳卒中、心臓発作などで急死する人はかなりいますので、生前、「万一私が急死したら、臓器を提供します」と表明し、それをカードに記入しておくのがドナー登録意思表示カードです。これは臓器を提供しても良いか、良くないかを書くもので、「ドナーになる」というカードではないことに注意してください。意思表示カードはすべての人が持ってもらいたいと国は指導しています。
 心臓、肝臓、腎臓などの臓器移植は日本では少なく、患者はアメリカなどに行って移植を受けてくることが多いのが現状です。臓器移植もドナーを増やし、日本で移植を受けられるようにしたいと誰しも思っています。私達はこの臓器移植、特に患者数が多い腎臓移植を推進したいと努力しています。